心をつかむ展示手法:ポンピドゥー・センター傑作展

先日、友人がブログで面白いと勧めていた東京都美術館の「ポンピドゥー・センター傑作展」に行ってきました。ポンピドゥー・センターはフランス、パリにあり、ポンピドゥー大統領によって発案され、1977年に開館した総合文化施設です。

作品ももちろんですが、人を惹きつける展示手法がちりばめられていて面白かったです。

 

1年1作品で時代を旅する

惹かれたのは、1年1作品、作者本人の言葉とともに展示されていると知ったから。

この展示手法には今までに出会ったことがなくとても新鮮。絶対に訪れようと決めました。

 

展示されている作品は、1906年からポンピドゥー・センター竣工の77年、激動の戦中から戦後、そして復興・成長へと向かった70年を、その時代を生きた70名のアーティストでつないでいます。

 

アーティストを丸ごと感じる

展示はアーティストの作品とそのアーティスト自身を写した写真、それにそのアーティストのアートに対する考えが凝縮された一言でワンセット。

 

通常の展示では、作品は見られてもそれを創った人がどんな人かをその場で垣間見ることはほとんどできないですよね。

でもここではそれができて、

「へーこれを描いたこの人、こんな顔してるんだ。」

「この時代に生きて、こんな表現をしたんだ。」

「色に対してこんな考えを持っていたんだ。」 

そんな風に多面的に作品を創った「ひと」に触れられる工夫がされています。

 

だから、普段だったら素通りしそうな作品も、「こんな顔したこの人のコレ」をなんだかわかりたい意欲がむくむく。興味を引く、自分ごととしてもらう仕掛けとしても面白いです。

 

生まれ年の作品に思いをはせる

それから、Kさんは自分の生まれ年の作品を見られて嬉しかったと書いていました。共通点が示されることで、自分ごとになる。

ターゲットを世界の外側から内側に入れる方法と捉えても面白くて参考になります。

 

 

私が訪れたのは土曜日の午後でしたが、それほど混んでいなくてゆっくり鑑賞できました。

おそらく8月下旬に新国立美術館の「オルセー美術館オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が終わると混み始めそうな気が。早めの来館がおすすめです。

 

2016年6月11日〜9月22日

東京都美術館

http://www.pompi.jp

 

後記

帰りがけ。

最近は全く買わないようにしていた図録を購入しました。

一人一人の写真が展示よりももっと大きく、人となりが伺えるもので素敵だったからです。

これを開けばこの時代を生きた人たちがいる。魔法の本のようなので。