三井記念美術館で至福の屏風を
円山応挙の「雪松図屏風」を見たことがありますか?
もう何年も前、オープン初日の三井記念美術館。
偶然近くを通りかかったのでどんなものかと寄ったのが
きっかけでした。
日本画や日本の美術品にそれほどの思い入れはなかったのですが、
展示室に入って、真正面に飾られたその屏風に釘付けになりました。
屏風の先の世界と自分のいるこの空間が繋がっているー
歩み寄って手を差し伸べたら雪の世界に触れられるような感覚になりました。
近寄ってみると、写実的でも精緻でもないタッチ。
水墨画のような墨絵の世界と少しの金色と。
塗りのない白が、離れてみるとどうしてこんなにもリアルに、冷たさまで
感じそうに見えるのか、
どうしてこんなにも、雪の日特有のしんとした空気を感じるのか、
とても不思議です。
自分のいる世界と絵の中の世界が繋がっているー
そんな絵は自分にとって特別の絵。
私の場合、4半世紀数多くの作品を見てきて、この応挙が2作目です。
そういう作品は人それぞれ。
自分をそんな空間に連れていってくれるものを見つけることが
私にとってアートのとても大きな楽しみの一つです。
この屏風は例年、新年に展示されます。
できれば人気のない日に、十分に向き合ってみたいなと思います。