暁斎展の見どころー1 努力家・伝統の顔とユーモアと。

ユーモアと伝統と努力に裏打ちされた

確かな画技が暁斎の魅力。

そんな風に感じられるようになった

サントリー美術館河鍋暁斎展。

学芸員さんから伺った見どころ、

私自身が気になった作品などを

メモしておこうと思います。

 

まずは7つの展示室のうちの3室について。

今後行かれる方にとって少しでもご参考に

なれば嬉しいです。

 

第1章は逸品揃い

枯木寒鴉図と花鳥図

前者は水墨、後者は鮮やかな着色画で

いずれも明治14年の博覧会に出品されたもの。

全く異なる2作を同時に出品することで

暁斎の画技の幅が鮮明に。当時の感覚を

この展示室で体感できます。

 

一見地味にも見られかねない鴉図に

暁斎が付けた価格は当時破格の100円

という高値。

非難が上がると「鴉の値段ではなく、

長年の画技修行の価」と返したのだとか。

暁斎の努力に裏付けられた腕への自負と

戦略家的一面が伺えます。

このエピソードを知ってから観ると

この2作品をまた違った形で楽しめました。

 

観世音菩薩像

学芸員さんからも言及があり、

私も気に入ったのがこの作品。

ヴェールの透け感、肌の丸みや温かみ、

水しぶきの瑞々しさなどが素晴らしい上、

額の白毫から出る澄みやかな光の美しさが

印象的。

 

第2、3章 狩野派絵師と古画

錘呂伝道図

古画を写すことで画題や描き方を学ぶ様子を

具体的に示していたのが錘呂伝道図。

お手本となった作品とともに展示されており、こうした展示は初めての試みだそう。

 

九相図

人の死体が腐乱して白骨化していく様の

模写。第5章の処刑場跡描絵羽織は

羽織の裏面に処刑のようすが描かれて

いますが、この九相図の経験が生きている

のではないかと。

 

放屁合戦絵巻

おならを巡る合戦絵巻。描かれた人が

とても生き生きしていて、躍動感全開。

ユーモアに溢れる場面の数々が楽しい。

 

蛙の蛇退治

蛙好きの暁斎はこのほかにも蛙を主体とした

鳥獣戯画のような絵を描いています。

蛙シリーズはユーモラスで楽しい暁斎

世界を楽しめる作品群。

 

日課観音図

個人的には日課観音図に感銘を受けました。

毎日の日課として観音像を描く。

たゆまぬ努力の人なのだということが

この展示ひとつで強く伝わってきました。

 

第4章以降はまた後日に書きたいと思います。