暁斎展の見どころ−2 生命と時間を絵の中に。

サントリー美術館暁斎展に行ってみて、

暁斎には「生命と時間を絵のなかに

とじこめる力」があると感じるように

なりました。

暁斎の魔法が解かれたら

その瞬間から絵の中のものたちは

生き生きと動き出すような。

 

今回は第4章から7章までで気になった

作品、学芸員さんから言及のあった

作品などを書き留めておこうと

思います。

後半は特に良いものづくしで

じっくり眺めたり、戻ってもう一度観たり。

その割にそんなに細かに覚えて

いなかったりしますが^^;

 

どなたかのご参考になれば。

 

 

第4章 戯れを描く 戯れに描く

貧乏神図

学芸員さんから紹介された作品。

暁斎は「絵の中から貧乏神が出て

こないように!」という意図で

注連縄の中に貧乏神を描いたとのこと。

その考えだけでも暁斎らしいなと

笑みが出てしまうのですが、

表装にもこだわりがあって、

つぎはぎの織物が貼り付けられて

います。この徹底ぶりも暁斎らしい。

この絵は、貧乏神と会話するような

気持ちで楽しむのがおすすめです。

 

五聖奏楽図

十字架に架けられたキリストが扇と鈴を

持ち、その周りで釈迦や老子などが

楽器を奏でる。どうしたらこんな

発想が生まれるんだろうと感じました。

 

僧正坊 鞍馬天狗 牛若丸 一名遮那王

蒙古族舩退治之図

風流蛙大合戦之図

名鏡倭魂 新版

この並びの作品はどれも大胆な構図、

色味の鮮やかさに目を奪われるもの

ばかり。

写実的ではないのに空や海まで動き出しそう。

北斎とは異なり劇画的、ウォーホール

ような味わいも感じさせました。

 

朝比奈三郎絵巻

今にも動き出しそうだ!と感じた

絵巻でした。

 

第5章 聖俗/美醜の境界線

処刑場跡描絵羽織

5章の部屋に入ってすぐ、

羽織の裏側に処刑の柄。

いったいなんのために?と思いながら。。

死体を模写した九相図の経験を

生かしたとされていて、その視点からも。

残酷な作品でもあるため、無理ない

範囲での鑑賞が良いと思います。

 

幽霊図

身体の透け感が幽霊のイメージそのもの。

惹きつけられました。

学芸員さんから、左右の目の色味の

違いについて伺っていたので、

そこもじっくりと。

一方は白目が薄い水色、黒目が金。

もう一方はその逆に。

うっすら開いた目なので、わかりづらい

ですが、透明感とはかなさを生んでいるよう

な気がしました。

 

第7章 暁斎をめぐるネットワーク

第6章の珠玉の名品はそんなに

心に残るものがなく、7章です。

 

ひな祭り図

今回の企画展で最も心に残った作品。

観た瞬間、作者の温かな気持ちや愛情が

溢れ出ていると感じる絵でした。

そうした絵はとても貴重で、私にとっては

ピカソのマリーテレーズについで

これが貴重な2作品目。

 

暁斎パトロン・小間物問屋

勝田五兵衛の娘・たつが14歳の若さで

亡くなり、

「あそべるも 今年かぎりか ひなまつり」

という句を残したことから、極楽で

ひなまつりを楽しむ様子をパトロンのために

描いたもの。

 

何度でもこの前に立ちたい。

そう思える澄みやかで温かな絵でした。

 

野見宿禰当麻蹴速

湯島神社の絵馬。絵馬も描いていたのか!

と驚きました。そしてかっこいい。

 

百猩々

数えながら観ていくと断然楽しく

なる絵。本当に100でした!

 

達磨図

やっぱりインパクト大です。

 

暁斎絵日記

毎日暁斎が書いていた眺めて楽しい

絵日記。

絵の依頼主・松浦武四郎に絵はまだかと

嫌味を言われたこと、

自分が絵師として引っ張りだこな

様子など、生き生きと人柄が伝わってくる

日記です。

 

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以上、簡単なメモでした。

 

追記

今回の企画展のカタログもとても良さそう

でした。

最近は質の良いカタログがそう多くない

と感じているのですが、そんな中でとても

貴重です。図録は再訪したら買おうかな。。

と考えています。