後日、企画展チラシの楽しみ
東京都美術館の奇想の系譜展、
そのネーミングに惹かれ、
告知のフライヤー(チラシ)を見て
随分前からとても楽しみにしていました。
美術史家 辻惟雄が1970年に書いた
「奇想の系譜」で紹介された型破りで
斬新な作品を描いた6名の画家、
都美術館が新たに白隠慧鶴、
鈴木其一の2名を加えた8名の作品を展示
している展覧会です。
企画展の印象
各作家の点数が少なかったこともあって
系譜感があまり感じられなかったり、
説明表現や展示の仕方などに課題を感じたり
して、企画展全体としては期待に
届かなかったかなと思いました。
でも最後にまとめたような良い作品に
出会えたのでよかったなと思っています。
フライヤーの意外な効用
数週間経って、この記録をつけようと
フライヤーを見ながら振り返ってみました。
図録よりもごくわずかな作品しか掲載
されない、でも印刷が鮮明で美しい
フライヤー。
鑑賞後、しばらく経ってから、
こんな風につぶさに見られる距離でじっくり
作品を眺めて楽しむというのも
おすすめかも?とも思いました。
良かったなと感じた作品たち
もう忘れかけながら、よかったなと
思った作品のリストを備忘にしておきます。
白隠慧鶴 (1685-1768)
職業画家ではなく宗教家として作品を
残したという点にまず惹かれました。
「達磨図」、「すたすた坊主」が印象に
残りました。
曽我蕭白 (1730-1781)
「富士三保図屛風」の虹が絶品。
墨絵の中に虹は幻想的でとても美しかった
です。
伊藤若冲 (1716-1800)
「乗興舟」は今までに見たことのない
モノクロ拓本のような絵巻。
黒地に描かれた景色がシックで美しく
心に残りました。
それから、どれが一番ということではなく、
飼っている鶏をつぶさに観察し尽くして
描いた作品たちも。
歌川国芳 (1797-1861)
「宮本武蔵の鯨退治」は構図と筆致に強い
勢いがあって色使いも勉強になる感じでした。
「朝比奈小人嶋遊」はガリバーの世界。
「猫の当て字 ふぐ」は猫好き国芳が描く
猫好き仲間にはたまらない猫文字でした!
鈴木其一 (1796-1858)
「四季花鳥図屏風」は屏風には珍しい
厚めの彩色で洋風な印象も受ける。草花が
ダントツに美しい。
「夏秋渓流図屏風」も幻想的な彩色、
精密なタッチがとても素晴らしかったです。