日本と世界の共鳴を目の当たりに。北斎とジャポニズム展・ゴッホ展

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訪日外国人観光客が2千万人を優に超え、

街中でもよく外国人を見かけるようになりました。

 

2020年の東京オリンピックに向けてこれから一層、

日本と世界のつながり方を色々な観点から見つめ直し、

日本の良さを引き出そうとする動きが出てくることと思います。

 

そんなこれからにぴったりな展覧会が2つ、上野で開催されています。

2つとも確かな企画力、編集力で作られ、アートの枠を超えてその時代を

丸ごと捉え、示していくような企画展。

両方訪れると、世界と日本のアートの共鳴ぶりが見えてきて、

生きていて幸せだなあとふっと感じた展覧会でした。

 

北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃

国立西洋美術館 〜1月28日(日)

美術の敷居を低く、多くの人に楽しんでもらえる工夫が随所に

感じられるお気に入りの美術館。

 

今回の主軸は江戸後期の天才浮世絵師北斎

北斎たちの作品が、モネやドガを始めとする西洋の画家たちの

着想・構図のヒントとなっている様子が対比して提示されています。

絵も興味深かったのですが、日本のモチーフに習ってつくられた

花瓶の迫力と美しさに感動しました。

 

これまで、美術館では「確たるもの」を拠り所に展示する事が

定石だったように思います。

けれども、この企画展は定石の殻を破り、

この作品にはこの日本画が参考にされたのではないか?といった、

館の仮説に基づく展示も積極的にされている点が

新しかったです。

時代をリードする動き、これからも楽しみです。

 

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

東京都美術館 〜1月8日(月)

今回はゴッホと日本のつながりに迫る企画展ですが、

昨年末、この美術館ではゴッホとゴーギャンという企画展があって

いわばゴッホ続編のようなもの。

 

 

前回のゴッホの生涯を追うような構成が素晴らしく、今回も行こうと

思っていました。

 

ゴッホと日本の関わり、作風への影響をこんな風につぶさに見ることのできる

展覧会は今までにありませんでした。

 

 

浮世絵作品に学び、その構図や色彩に日本の要素を取り入れた作品を描き、

南欧アルルの美しい地を日本のようだと評していたゴッホ

北斎展に続いて、世界の巨匠がこんなにも日本の画風に刺激を

受けていたとを目の当たりにして感動しました。

 

この企画展ではさらに、

そうして日本の影響を受けたゴッホを彼の没後数十年経った後、

第2次世界大戦へ向かう不安定な世情の中、

今度は日本の文人たちがゴッホに関心を寄せ、作品を見るために

パリを訪れ、ゴッホ展を日本で開きたいと奔走していたところまで

歴史的資料で伝えていて、世界を俯瞰して見られる面白さが

ありました。

 

北斎展も比較文化史的な趣でしたが、

西洋美術館が仮説を提示していくのに対し、

こちらは「確かなもの」を丁寧に積み上げ、示していく

美術館と博物館の融合のような形。

 

手法は違えど、こうした文化史的な捉え方、美術館の一つのトレンドに

なる気がします。

今年は面白そうな企画展が目白押しなので、より多くのものに

触れていきます。