北斎と運慶の共通点に思うこと。
この秋、企画展で北斎漫画を見る機会、運慶の造形を見る機会が
あって、彼らの共通点に気がつきました。
北斎は江戸後期の浮世絵師、運慶は鎌倉後期から平安初期の仏師。
一方は平面、一方は立体の世界ですが、いずれにも共通するのは
身体、骨や筋肉、筋に至るまでをリアリティある形で表現している点です。
類い稀な観察眼、それを表現に盛り込む技術、創造することへの強い情熱が
かけ合わさって、生み出された人物に命が吹き込まれているように思います。
日本の古来からの作品群に思いを巡らして見ると、ある程度のデフォルメが
なされ、忠実よりもふんわりと対象を捉える傾向があったように思います。
翻って西洋(とくくるのは大きすぎるかもしれませんが)では、
すでに古代彫刻の時代に人の身体の細部までを忠実に写しとることで
リアリティある作品を生み出しています。
ただ、この流れの途中にももちろん変遷はあって、色々と思うことがあり
うまくまとまらないのですが、
人体表現の比較美術史展とか、あったらとても面白いなあと思います。
自分でも、いつか研究してみたいテーマです。