出光美術館の「色絵 Japan CUTE!」のおもしろみ

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フライヤー可愛い!絶対行こう!と思った色絵展。

今回の出光美術館、腕が光っていて、陶磁器に全く明るくない私にも

十二分に楽しめました。

 

国内外から借りて集めた作品で構成する大掛かりな企画展も面白い。

でも、所蔵作品を知り尽くして切り口を変えて魅せる企画力・編集力、

訪れた人に興味を持ってもらいたいという熱意のある美術館はそれほど多くなく

貴重だなと感じます。

 

輸入して真似る欧州、愛でる欧州

最近、日本・海外の作品がいかに相互に影響を与えていたのか

という比較、作品の共鳴史的な切り口が展示トレンドです。

ここでも、イギリスのウースターやドイツのマイセン、中国の景徳鎮などが、

柿右衛門をモチーフにしたものが並べて飾られていて。

私はこういうのが大好きなのでワクワクしました。

また、江戸時代当時に輸出された酒を注ぐ陶磁器は、意匠を凝らした

作品。気安く行き来のできない時代、ヨーロッパの人が遠い異国から

来た陶磁器たちをみて、この陶磁器から日本はいかなる国かと

想いを馳せたんだろうなと想像したりすると、

一つの展示から世界がぐんと広がっていきます。

 

切り口で引き出す所蔵作品の魅力

今回の展示では、

江戸に流行った小紋(着物)柄が古九谷に使われていたこととか、

和歌や能にちなんだ懐石器が流行ったこととか、

文房具カフェがある現代でも愛されそうな、硯に埃が入らないための

硯カバーがあったこととか、

そんなことも面白かったです。

時間を超える、空間を超える、ジャンルを超える

俯瞰的な視点で作品を捉えなおして比べたり、意味付けをしたりしてみると

何気ないことも面白く見えてくるから嬉しいです。

 

こうやって所蔵品を面白く見せてくれる企画展に、これからも期待!

 

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気に入ったものリスト

  • 色絵熨斗破魔矢文皿 古伊万里 江戸中期・・・子供の成長を願う素敵なお皿
  • 色絵菊花文透彫六角鉢 古清水 江戸中期・・・陶器の透彫、素晴らしい!
  • 色絵楓文透彫手焙 古清水 江戸中期・・・寒さしのぎの小さな火鉢的なもの。火が入った時の須賀氏からの灯を想像するととても美しかったろうなと。
  • 色絵松竹梅文硯屏 古清水 江戸中〜後期・・・硯に埃が入らないようにするための文具。可愛さ、機能性。いつの時代も文具好きはいるのかもと。
  • 色絵菊花文輪花皿 古伊万里 江戸中期・・・模倣され、イギリス、中国も同様に。
  • イギリスウースター窯 色絵梅菊花龍文輪皿・・・パステルカラーも使われる。色味もモチーフも国によってずらされながら模倣される面白さが良い。
  • 葆光彩磁紅禽唐草文小花瓶 板谷波山 大正初期・・・やわらかな光を閉じ込めたようなまろやかに発光する花瓶。美しい。
  • 色絵熨斗文茶碗 野々村仁清 江戸前期・・・とにかく美しい。
  • 紫交趾釉鳳凰文急須など 青木木米 江戸後期・・・人を楽しませ話題をさらいそうな茶器。
  • 色絵七福神文酒器 古伊万里 江戸中期・・・輸出された先の欧州でこれを目にした人たちの中に遠い異国日本はどう写ったんだろうとわくわくした。