インパクト抜群「名作誕生 つながる日本美術」@東京国立博物館

「名作誕生 つながる日本美術」。


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GWでも混雑のない会場で比較的ゆったり

鑑賞でき、収穫もある企画展でした。

一見地味に見えてしまったり、企画テーマを

感じられなかったりもしましたが、

インパクト大な作品にであえました。

聖徳太子の1歳1枚、アルバム的絵伝

聖徳太子が生まれてから50歳で亡くなるまで、

1歳ごとにその歳の一大ニュースのタイトル・絵が

記されている伝記的な6編(遠江法橋筆 1323年(鎌倉時代
大阪市天王寺))。

人一人の一生をアルバムのようにして見るのは

珍しくとても面白かったです。

700年経った今も残っていることにも感動しました。

 

文正の鳴鶴図と伊藤若冲の白鶴図

文正の作品(中国、14C元〜明時代)を

18C江戸時代に若冲が模写。

それが対照的に展示されていました。

模写なのでもちろん、構図はそっくり

けれども若冲の筆致は羽毛一枚一枚の筋までも

細かに描きこんでおり、若冲らしさが

はっきりと感じられました。

対比することでより明確に見えてくるものがある。

それによってより若冲が見えてくる面白さが

印象的でした。

 

岸田劉生の娘・麗子と寒山拾得

伝顔輝(がんき)筆の寒山拾得図(中国 14C元時代)。

あの半端ないインパクトの娘(麗子像)を描いた

岸田劉生

彼が模写をし、娘に寒山インパクトある

笑い顔を生き写した「野童女」。

ものすごい存在感で夢に出てきそう!!!

絵からエネルギーがあふれ出るような筆致。

さすが岸田劉生だなあと思います。

 

背景となる知識で面白味が格段に違う

会場に小学校低学年くらいの男の子を連れたお父さんがいました。

伊勢物語の屏風の前で、どこが竜田川?とお子さんの声。

ああこれがちはやふるだね。。とお父さん。

八橋蒔絵螺鈿硯箱の前では、

ああ、これ、内側が波なんだよねとまたお子さん。

そうして随分長いこと、親子で話しながら見入っていました。

 

たくさんの知識を目の前のものに重ね合わせて楽しめる

ってすごいこと(それがお子さんだと余計に)。

歴史背景、日本の古典文学に対する知識があれば

数十倍、数百倍楽しい展示なのだと改めて感じました。

 

事前知識のない多くの人にもっとすっと入る形で

知識が入ってくるような助けがあったら

もっと多くの人にとって、作品が生き生きと見えて

くるのだろうと感じます。

 

もちろん、知識がなかったとしても楽しみ方は無限に。

おすすめの企画展です。

 

5月中下旬までは、庭園も公開中です。

人も少なめ、新緑とキラキラ光る沼面が綺麗で

癒しの時間を過ごせてゆったりしたい人に

おすすめでした^^

 
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*そのほか気になったもの。

伊勢物語で発想を得たいずれも燕子花もの。

打掛 紅縮緬松八橋模様

打掛 白綸子地流水燕子花模様 (ともに19C江戸時代)

艶やかで美しい打掛でした。