作品から声が聞こえるフェルメール展

平日夜間を狙ってフェルメール展に。f:id:apricotty:20181117210358j:image

当日買いなのでチケットは2700円。

相場は1500円くらいなのでかなり割高です。

 

フェルメールの部屋

今回の企画展では「8/35」 という言葉が

ポスターを彩りました。現存すると言われる

35作品のうち、全部で9作品、

東京では8作品が集められ、公開されて

います。

私も何度かフェルメールの作品を観て

いますが、フェルメールをまとめて観られる

チャンスは今までなく、今回複数を一度に

観られたことはとても貴重な機会となりました。

 

まとめて観られることで、フェルメールなら

ではの光や質感などを比較しながら楽しむ

ことができます。

それに加えて、絵の中の人物の表情や仕草か

ら「頭の中で何を考えているかが伝わってく

るような感覚が。

今まで他の画家の絵からは感じたことがない

感覚で、大きな発見でした。

 

フェルメール以外の風俗画も楽しい

当時の人にとっての風俗画の多くは

戒めとして描かれていたとのこと。

でも、今を生きる私が見たら、

おじさんがお酒を飲む生き生きとした笑顔に

親しみを感じるし、

人々の日常には、この時代、この国ではこん

な服装でこんな風に暮らしていたんだ。。と

想像して楽しめます。

この時期、この地域の風俗画が精緻な筆遣い

だからこそ、リアルさが増して身近に感じら

れ、より風俗画を楽しめる人も多くなるので

はと。

 

日時指定入場にイヤホンと解説の標準装備

ここ1年くらいで、美術館がいろんなことを

試し始めた印象があります。

 

今回は日時指定制、イヤホン・解説冊子込み

の高額入場券。

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日時指定の効果

その効果は?と考えてみると、

日時指定の効果は人が集中しがちな会期始め

や終わり、土日の日中などに人数制限をでき

る効果があるのかも。

ただ、コンスタントに20:30まで空いて

いる日が多いことも今回の混雑分散に役立っ

ているのではないかと思います。

 

また、入場料もちょっと見てみようという人

には高すぎる(通常の企画展の2倍近く)の

で、そうした人たちが来ていないという面も

あるのかもしれません(でも、会期最終日

近くにはやっぱり増えるかもしれませんね)。

 

イヤホンガイドと解説冊子

イヤホンガイドについては、石原さとみさんのファンの人には嬉しいと思います。

(ガイドのことはまた別の折に書いてみたい

と思っています。)

 

解説冊子は、混雑時、解説が壁に書いてある

とどうしてもそこに人が溜まってしまいが

ち。それをうまく回避できているし、手元で

落ち着いて読むことができ、後で見返すこと

もできるので良かったです。

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ただ、ガイドも冊子も、欲しい人とそうでな

い人ははっきり分かれますよね。

冊子はずっと保存しておく人はそう多くはな

いと思われるので(今回の冊子は青の表紙でこそあれ、世界観を感じるほどデザインなどに

こだわっている印象もなかったので)、

ガイドはオプション、

冊子は立派すぎない従来の出展作品リストと

同等の紙質で十分ではないかと思います。

 

追記 上野の森美術館のさきゆき

上野の森美術館は数年前から商業主義に大き

く舵を切った印象があります。それによって

良いことも生まれていますが、課題も生まれ

ています。

 

アート展ならではの解釈のあるプレゼンテー

ションが損なわれないように、

最終的な主導権はアート側が持ち続けられますように。期待しています。

 

 

※素敵だった作品

フェルメールの「真珠の首飾りの女」と「手紙を書く夫人と召使い」